読書感想文2 ― 『Twitter社会論』

 本書はもちろん、発売後すぐに買って読みました。インターネットに普段から触れている方であれば、どこかしらで本書の内容について言及した文章を目にした事があるのではないでしょうか。

 既に発売からは半年が経つので新さ、と言う点では厳しいものがありますが、twitter本に触れた事がない方であれば、本書を一冊読めばそれで大丈夫なのでお勧めです。

 また、下の方にもリンクを貼りましたが最近、電子図書(iPhone向けアプリ)として発売された様なので、iPhoneユーザーの方はそちらを読んで頂いた方が良いかもしれませんね。追加原稿もあって安くなっている事ですし。

目次
はじめに
第1章 ツイッターとは何か?
 1.ツイッターで今、何が起きているのか?
急増するユーザー数 / 注目を集めるツイッター / ツイッターの生い立ち / ツイッターの日本での広がり / ユーザー数増加によるトラブルやセキュリティは? / ツイッターのビジネスモデル
 2.ツイッターとは何か?
「新しい情報流通インフラ」 / 140字という字数制限 / ツイッターの6つの特徴 / 1.リアルタイム性 / 「リアルタイム検索」の価値 / 2.強力な伝播力 / 3.オープン性 / モバツイッターの登場 / 多様な関連サービスの隆盛 / 4.ゆるい空気感 / 5.属人性が強い / 6.自由度が高い
第2章 筆者のツイッター活用術
 1.筆者のツイッター個人史
ツイッターとの出会い / リアルタイム・コミュニケーションの快楽 / ネットの情報にタイトルなんていらない!? / 非公開から公開へ / 悩める公開ユーザー / 思考をだだ漏れにすることで得られるもの / 5通りの活用法と、「告知ツール」としてのツイッター
 2.「tsudaる」技術
tsudaる」とは何か / 「tsudaる」スタイルの完成 / 「tsudaる」と呼ばれて / ツイッター中継の効能 / 更なるインセンティブの可能性 / ツイッター中継と著作権問題 / 報道としてのツイッター中継 / ツイッター中継の「報道」としての意味 / 「tsudaる」技術
第3章 社会に広がるツイッターインパク
 1.ツイッターとジャーナリズム
マスメディア・ジャーナリズムの3つの機能 / ツイッター上で行われた「伝達機能」的報道 / ムンバイテロ報道の残した課題 / 秋葉原連続殺傷事件 / ハドソン川の旅客機不時着事故 / 「洪水」をきっかけに生まれた新しい伝達型ジャーナリズム / モルドバやイランで発揮された「監視機能」 / 政治性を帯びるツイッター / 政策形成のプロセスを透明化する「監視機能」 / ツイッターで「構築機能」は実現できるか / 旧メディアとソーシャルメディアの連携の可能性 / ネット時代のジャーナリズム
 2.ツイッターと政治
オバマ大統領選とソーシャル・メディアの威力 / 政治家に広がるツイッター活用 / 日本でも広がる政治家のツイッター利用 / カウンター・メディアとしてのブログ / ツイッターの強力なカウンター機能 / 日本の政治家がツイッターを使う理由 / 逢坂誠二衆議院議員の場合 / 国会議員による実況中継 / ツイッターを通しての思い / ツイッター「炎上」 / ツイッター議員との上手な付き合い方 / ツイッターと選挙 / ネットと政治 / 政治の現場とツイッター / 英国政府の公式ツイッターガイドライン / 日本の公的機関はツイッターをやるべきか
 3.ツイッターとビジネス
企業ツイッター活用状況 / 大成功したデルの事例 / 企業のツイッター利用の4つのパターン / ツイッター社が定義する企業のツイッター活用 / 企業活用の具体的事例 / 活用の限界とメリット / 「人間力」の高い社員を担当にすべし
スペシャル対談 勝間和代×津田大介
 つぶやく力 ー ツイッターの可能性を探る
きっかけはエゴサーチ / 広瀬香美というユーザー / ツイッターのもたらした発見 / フォロワー数というシビアな現実 / ツイッターの時間、生活の時間 / ビジネスパーソンツイッター活用術 / 非承認制のもたらす気安さ / ツイッターは「原始インターネット」 / ツイッターキャズムを越えるか
おわりに

 僕が初めてtwitterにユーザー登録してから3年と少し(登録日は2007年5月26日)経ちます。しかし、当時は海外ユーザーにしか出会えない様に感じてしまい1年半近く放置してしまいました。この時点で放置せずにいたら、と思うと今でも悔やまれるのですが、今更言っても仕方がありません。

 さてつい先日、8月6日にテレビの金曜ロードショーで『サマーウォーズ』が放送されました。さらにその数週間前には毎週ジブリ作品がテレビ放送され、更に6月から7月にはFIFAワールドカップもテレビ放送されました。

 これらの魅力的なコンテンツがテレビで放送された時に、twitter上でコミュニケーションをとりながら視聴すると言うユーザーは非常に多かったと思います。ワールドカップは、生放送がほとんどですので、ある程度当然かとは思いますが、ジブリ作品やサマーウォーズに関しては既に劇場公開・パッケージ販売・レンタル開始と相当数のユーザーが複数回目の視聴だったと思われますが、それでもtwitterを介して楽しむ光景が観られました。

 もちろん、サマーウォーズは地上波では初放送ですし、ジブリ作品には何度観ても楽しめる要素があるから、と言った事は言えるとは思います。しかし、同時にtwitterには、何度も観た作品でも、より楽しみながら観る事が出来る様な魅力があると思います。twitterの魅力の一つとしてこの時のTL(タイムライン)上での一体感と言うのが挙げられると思います。

 『ゴーーーール!!!!』(サッカー)、『バルス!!』(天空の城ラピュタ)、『よろしくおねがいしまーす!』(サマーウォーズ)など、なぜか一緒にツイートしたくなってしまう言葉は存在しますし、その時のTL(タイムライン)を見る時の高揚感と言うのは何とも言えないものがあります。

 もちろん、twitterに過剰な期待をもつ必要はないと思います。電話やメールと同じ様にツールに過ぎません。しかし、手紙がメールになり、電話が携帯電話になった事によって起こった変化があるのは事実です。

 twitterがその変化を起こすものになるかどうか、それは未だにわかりません。ですが、twitterFacebookにはそうなる可能性が秘められている事も事実の様に思えます。

 電話やメールの様に、インフラとしての役割を担ってしまったツールにもはやワクワク感はありません。しかし、まだtwitterFacebookなどには、そのワクワク感が残っていると思います。

 もし、これらのツールがインフラ化してしまえば、きっとそこにあったワクワク感もなくなってしまうのでしょう。人は必要だからそのツールを使う様になるのです。

 この手のサービスの内、どれがインフラ化して勝ち残るかはわかりませんが、twitterFacebookなどはその有力候補である事は間違いないと思います。

 そうであれば、ワクワク感の残っている今のうちに楽しみながら慣れ親しんでおくのが良いと思うのですが、いかがでしょうか。まだ、一回もtwitterFacebookに触れた事がない方には一度触れてみる事をお勧めします。

 そしてそんな方の指針となってくれる代表格が、twitterであれば本書である事は間違いないと思います。