コーヒーカップ

 普段使っているコーヒーカップが見当たりません。先程(と言ってもすでに12時間ほど前)洗って置いておいたはずなのですけれどないのです。
 家族の誰かが使っているのか、自分が使っているのか。自分の記憶力が当てにならないのでどっちとも判断がつきません。自分で使っているのに家族に聞いてしまったら最後、これでもかと言う程の攻撃にあいます。それだけは避けなければなりません。コーヒーを美味しく飲むためにも。

 ちなみに、私は家では大抵インスタントコーヒーしか飲みません。ネスカフェゴールドブレンドしか飲みません。インスタントコーヒーにも拘りがあるのです。インスタントコーヒーをブラックで飲む気にはなれませんので、シュガーと粉ミルクを入れます。シュガーと粉ミルクにも拘りがありますが、今はコーヒーの話ですので置いておく事にしましょう。そうなって来ますともちろんお湯にも拘ります。と、言うと「ミネラルウォーターを使うのか?」と仰る方がいますが、そんな事はしません。普通の水道水を普通の電気ポットで普通に沸かした物です。拘るのはお湯の量です。もちろん目分量で入れなければなりません。拘り方にもインスタントコーヒー流の拘りがあるのです。

 さて、お湯を目分量で入れるとなるとやはり『慣れ』が必要です。自分の美味しさの量という物は自分が一番良く知っているのです。しかし、ここでコーヒーカップがいつもの物と違うとどうでしょう。目分量にも自信がなくなります。そうなってくると、お湯を入れすぎたら取り返しがつきませんから、少なめに入れて味見をしながら加えていく事になります。困った事にそうこうしているうちに味覚の方に自信がなくなって来るのです。自分の美味しさに近づいた様な気がする少し量の減ったコーヒーを前にして考えました。

 コーヒーカップはどこにいったんだろう。

 思い出しました。クローゼットの中です。果たしてありました。もちろんこれも拘りの一環である事をお忘れなく。

 さてもう一杯。