感想文10 物語 バルト三国の歴史-エストニア・ラトヴィア・リトアニア : 志摩園子

またしても感想を書く間隔が空いてしまったが、『物語 バルト三国の歴史』(志摩園子著)読了。物語〜歴史シリーズの中でも日本人にとっては北欧、ウクライナと続いて余り馴染みのない国々である。まあ、そうは言っても現在の国とほぼ同じ形が整ったのが第一次世界大戦後であり、その当時イギリス外務省でさえ、その状態を余り把握出来ていなかったとこの本にはあるので俺の様な日本人が知らなくてもある意味仕方のない事なのかも知れないな。(とは言ってもイギリス外務省と言えば自分勝手に地球上に線を引きまくった人達だから、そんなに当てにはならないかもしれないけど)しかし、第7章の冒頭にある様に第一次大戦後に既に日本人外交官がその地から情報を寄せ、また『日本のシンドラー』と呼ばれる杉原千畝リトアニアカウナスからユダヤ人を救い出すビザを発給し続けたり、と今から50年、100年前でも日本人として俺には馴染みのない国で活動していた人がいたのもまた事実ではある。こういった事を少しずつでも知っていけたら、少なくとも知る努力をしていけたらな、と思う。
本としては、古くから現在の国の母体となるモノが存在していた訳でも民族的に特別な訳でもなく、また複雑な歴史である事も原因ではあると思うが、歴史がわかり易いとは言いかねる内容ではあった。ただ、バルト三国が何故、バルト三国と一まとめにされてしまう(してしまう)のかはわかった様な気がする。